いたれりつくせり。

アニオタからジャニオタ。オタクのオタク。

Kis-My-Ft2、7人の「棚からぼたもち」

 24時間前まで、この展開を誰が予想しただろうか。

 CDTVKis-My-Ft2の披露曲は「感謝を届けるメドレー」。当日昼の「Johnny's World Happy LIVE with YOU」が想定外だったのも相まって、ツイッターのタイムラインは「今度こそ『Thank youじゃん!』だろう」の意見が圧倒的だった。YouTubeではファンへ向けて、そしてテレビではお茶の間へ向けてのパフォーマンス。ありそう。私の予想も例にも漏れず、「Everybody Go→Thank youじゃん!→AAO」だった。

 

 さて、いざ始まった打合せ風景。「門出を迎える方や人生のステージが変わる方も…」といった横尾さんに、お、と思った次の瞬間にはもう、名前は出さないもののキスマイメンバーそれぞれが「中居さんへ向けての選曲」をしてきたことを明らかにした。『光のシグナル』、『負けないで』。そして、「愛が最も伝わる」というナレーションと共に紹介されたのが『棚からぼたもち』だった。

 

 テレビ最前0ズレで「えええええっ」と叫んだ。え、まさか、本当にやるの?!CDTV ライブ!ライブ!、新番組、4時間生放送、9時台。ここで、このメドレーに舞祭組の曲を入れてくれるのだ。キスマイさん、本気だ…。

 

 1曲目、光のシグナルのイントロが始まる。渉、笑うだろうな。そう思うやいなや、横尾さんのふわあっとした笑顔が見える。横尾さんは素直で正直だから、人のことを想って、慈しみながら歌うとき、いつもと段違いの余裕が見える。そんなときの彼は、「ふわあ」としか表現のしようのない、やわらかくて温かい笑顔を見せてくれる。

 

 淡い色のロングジャケットを身にまとった7人。4人は前のボタンを留めているのが目に留まった。よかった、きっと棚ぼたのときはスーツに着替えてくれそうだ。舞祭組の正装、スーツ。キラキラのステージ衣装ではない、サラリーマンの味方のスーツ。汚れても、雨にぬれても、汗をかいても、筋トレでぱっつぱつになっても、彼らの正装。こんな時に着なくて、いつ着る。

 

 2曲目、負けないで。上を見て笑う渉を見て、京セラドームの景色を思い出す。ジャニーさんが亡くなって、まだ8カ月足らず。色々あったなあ。落ちサビでまえあしの3人のアップが続く。どうやら4人は着替えているらしい。間に合うかな。わくわく、どきどき。棚からぼたもちへの期待値が、ぐんぐんぐんぐん上がっていく。

 曲の最後、楽しそうな、少しいたずらな微笑みを浮かべた北山くんが印象的だった。なんとなくだけど、彼らが誰よりも、舞祭組の登場を心待ちにしているんじゃないか。そう思った。

 

 カメラがパンして、3曲目。棚からぼたもち。

舞祭組 舞祭組 ole

 キレキレのダンス。暗闇で踊る彼ら。見慣れた彼ら直筆の歌詞。

 サビだけかな?と思っていた自分を殴りそうになった。そんなわけない。これは餞なのだ。地上波を使った、驚くほどの職権乱用なのだ。もうこの時点で声をあげて泣いていたのだけど、テレビの前で、4人と一緒に踊る。B・U・S・A・I・K・U。何度踊っただろうか、いつだって4人は本気で全力だ。笑わない。それが彼らが、中居さんから言われたことだから。

 

 千賀くんのソロパートが始まる。あまりにも堂々とした佇まい。カメラをしっかりと射貫く目。「僕たち4人で大丈夫なのか?」「確かに輝きはない」「いきなり注目厳しいかな」「ところで自信もない」。ダウト。今日の千賀くんの前に、歌詞は何の説得力も持たない。

 いつだって自分がセンターで、絶対にどんな曲でもネタに走らず、いじられるのが嫌い。千賀くんはそんな男の子だったから、誰よりも舞祭組のコンセプトに抵抗があった。

 他者を圧倒する華、パワー、安定感。あのソロパートはただのソロパ―トじゃなく、千賀くんのステージだった。歌詞が意味を持たなくなること、それが舞祭組の成長なんだな。心の底からそう思った。

 

 宮田くんのソロパート。一瞬で人を虜にする目。歌の安定感が抜群に増している。千賀くんに続き、大人になった宮田くんはしっかりと立っていた。

 サビ、二階堂くん。流石のクオリティ。後ろで踊る担当を見る。大サビ、あるかな。まさかないなんてことないよな。さすがにそれはあってはならないぞ。

 

 歌えない、そしてそれが認知されることすらなかった横尾さんに、「師匠」という名前をつけてくれたのは中居さんだ。音痴という、決していいことではないとはいえ、「ジャニーズで〇〇といえば」の座を譲ってくれるって簡単なことではない。

 いよいよ大サビ、横尾さんのソロパート。背景にはPVの映像。横になった3人、1人、ステージの真ん中で立つ横尾さん。舞祭組がなければあり得なかったほど長時間カメラに抜かれ、そしてそのカメラをきちんと見つめ返す。手は震えておらず、マイクをしっかりと握っている。

 そして何より、まだ少し頼りなくはあるが、びっくりするほど上手に歌っていた。歌い始めのタイミングが分からず、床で寝転んでいる千賀くんにカウントをとってもらっていた横尾さんが、だ。

 

でも俺らいないとお前ら輝けない

 上手から抜く、という変なカメラワークになっていたので違和感があった。一瞬、カメラが切り替わる前に、ステージ奥に動くものがあった気がしたのだ。ちょっと待って。まさか…。この時点で「中居さんが来る」と考えていなかったのは、先ほどのPVがあったからだ。3人が来るのか。この状況で…!?

 

 そう思ったら出てきた。「前の3人」が。舞祭組ができた後、より一層「かっこいい」を担う責任ができて、映画やドラマへの出演でキスマイを引っ張ってきた彼らが出てきて、舞祭組の後ろで踊り始めた。横尾さんのソロを聞くため押し殺していた泣き声をまたあげてしまった。もう止めることができなかった。

ガヤ!キタ!タマ!タマ!タマ!タマ!

 三者三様に楽しそうなまえあしとフォーメーションチェンジ。なんだか安心感のある、3:4のフォーメーション。クリーム色の衣装の3人と、灰色の衣装の4人。見た目こそ似ているが、舞祭組結成当初に引合に出されていた、「白衣装の前3人と、黒衣装の後ろ4人」の構図はもうどこにもない。

 

   最後のB・U・S・A・I・K・U、舞祭組の4人がぴょん、と1歩前に飛び出し、7人が横1列になった。にこにこノリノリの3人と、セオリー通りの4人。舞祭組はもう大丈夫、と示すだけではない。舞祭組が舞祭組としての活躍の場を与えられ、自信・度胸・キャラを手に入れた結果、キスマイがはれて7人になったこと。それこそが「Kis-My-Ft2はもう大丈夫」という、中居さんへの餞だったのだ。

 

 もっと安っぽいエモにもなれたかもしれない。テレビの私物利用かもしれない。それでも、「僕たちをお世話してくれたあなた!見てくれましたかぁ~!?」「またご飯行きましょう~!」と、お茶の間ではなくたった1人の先輩に向けて手をぶんぶん振る7人に、とんでもなく心を動かされた。

 中居さん、改めて本当にありがとうございます。舞祭組がなければ横尾さんを知ることもなくジャニオタになることもありませんでした。玉森くんも言ってたけど、負けなさそう~!そして相変わらず近くにはいてくれそう!これからも舞祭組ちゃんおよびキスマイちゃんをよろしくお願いいたします!!!!!!!!!!!!!!!!!!!