いたれりつくせり。

アニオタからジャニオタ。オタクのオタク。

たのしいも、たのもしいも

ラン・フォー・ユア・ワイフ、大阪延期公演含め改めて全公演おつかれさまでした!ちょっと感想を書くつもりが想像以上の文量になってしまったので独立して記事にしてしまう。*1

 

東京・名古屋公演の時の記事

niseri1012.hatenablog.com

 

大阪公演が決まったときの記事

note.com

 

ランフォー大阪延期公演。

たのもしいとたのしい。そういう公演であった。間にドッグファイトを挟んだものの、n回観ている演目ではあるので台詞や全体の流れは結構しっかり覚えている。その分、「お、ここはこう変えてきたんだな」というふうにメリハリを随所で感じて、結果ものすごく感動してしまった。

本人も日誌で近い内容の事を書いてはいるけれど、東京・名古屋の公演でとにかく課題だったのが台詞量だったと思う。あまりにも台詞量が多いので早口になってしまって、そうすると担当の甘めの滑舌では聞き取れないところが出てくる。台詞を飛ばすことこそないものの、代わりに台詞がとにかく走る走る、ばばばっと台詞が口から出てしまうので、たぶんファンか複数回観た人じゃないと聞き取れなくなってしまう。

ジョンは「嘘を言って焦っているキャラ」なので噛もうとどもろうとまあ許されるといえば許されるのだが、役者はそんなに甘い世界ではないのは本人も理解しているだろう。だから劇中にそれが複数回続いて、本人がそれでパニックになっているのが分かると、客席で「頑張れ!頑張れ!」と祈るような心づもりになってしまうのは事実であった。

東京公演途中から身振り手振りをくわえることである程度の中間地点、というか、体を使うことで自身のセリフを制御する流れを作っていて、それで劇的に聞き取りやすくはなった。けれど、それは安全を買うために自由を売っているようなもので、結局本人のスキルによって「舞台上で楽しむ」と「舞台上で演じる」が両立できていない、という状態になってしまう。それに本人がもどかしさを感じるのをみる…という…。これは当時お金を払ったことを1mmも後悔しているわけでもないし、その時来てもらった友人に誇れないものをみせたつもりもないが、でもあえて、あえて大阪公演を経ていおう、何をみせられていたんだ。

名古屋公演、それも千穐楽は東京公演と比べて劇的にパワーアップしており、大変いい公演だったように感じていたので、大阪へ向かう私はもうドキドキ。「名古屋千穐楽の、それ以上の、演技をみせてくれるのかな、忘れてないかな」と心配はありつつも、半年以上ぶりのジョンを楽しみに会場へ向かったのである。

 

冒頭に戻ろう。頼もしいと、楽しい。もちろんまだ粗は見える。でも、あ、噛んでしまったな、とか、今の部分ちょっと聞き取りづらかったな、と思ってしまっても、「本人がそれに焦っていない」「本人がそれすらも楽しむ余裕がある」ということが目に見えて分かったから、終始安心して見られた。スタンリーとのシーン等、意図的に本人が緩急をつけているのもわかった。いうなれば演技途中にピットインする部分があって、そのシーンは他の演者さんにボールを渡す、というような。これをすることでドミノのように一か所のミスが次のミスを誘発することもなく、かといって半ば無理やりに自身を奮い立たせて軌道修正を図るかのような必死の(本人が「気持ちが悪くなる」と書いていたのを見て思わず「え~ん(;;)」となった)対応も見えず。あくまで本人が楽しんでできる範囲で演じていて、そうするとジョンが生き生きしてくる。

そう、ジョンが生き生きしていた。今までのジョンがモノクロだったらカラーになったような。2Dが3Dになったような。ジョンの表情に、感情に、『色』が見えた。しかもそれが毎公演違った。それはあまりにも屋良朝幸のエディに、昆夏美のローズに私がみたもので、同時にドッグファイトを経て担当に絶対に習得してほしいものであったので、ゼロ番でくるくると表情を動かすジョンが嬉しくて比喩じゃなく泣いた。

ジョンはつかみどころがないし、ちょろいし、優しさと自我のなさが違うということを理解していない。「嘘がバレたら死ぬと思え」、という演出の野坂さんの言葉を、今回のジョンをみてやっと理解した。自分以外はどうなってもかまわないから自分だけは守るその姿勢、本当に腹立つ。でも憎めない。ヤな奴だなあ!!!ここまで来てようやくジョンに出会えたな、と思えた。

ドッグファイトの時に友人に「キラキラしてた」「華があった」と誉めそやされ、『やっぱり担当は踊らせたら無敵なんだよな~!』と思っていたが嘘だった。役者として、演技をしていても、輝ける。瓶底の分厚い色眼鏡かもしれないが、少なくとも東京・名古屋と比べたらもう直視できないほどの華!輝き!お偉いさん、観るんならこの公演です。これ、私の担当です。今度とも御贔屓によろしくどうぞ。

もう一つ特筆しておきたいのは座長としての心意気の話。担当は新しいキャストさんも含め、すごく素敵な座組を作っているようであった。旧ポーターハウスやボビーがきちんと今回の再演にあたってSNS等でコメント・差し入れをしてくれていること、そして再演から入ってきてくださったキャストさんが3日4公演のために1週間の稽古ですでに出来上がっているランフォーの世界観に溶け込んでくださったこと。新キャストお二人の努力に全力で感動すると共に、「本当にいい子たち」「何でも買ってあげたい」「再再演したい」という言葉をその短期間で引き出せたことこそ、はだかの王様状態であった座長が徐々に座長らしくなる瞬間であったと思う。拍手喝采である。

…ここまで褒めすぎの自覚はあるが、それだけ嬉しかったのだと思ってほしい。ファンが一番簡単にできることは褒めることなのに、いざ公演がよくなると感想が「今日も良かった!」の一言で終わってしまう。ただ、最初の公演を(そして彼がどれだけ自分が課した枷にとらわれていたかを)いち観客としてだけど知っているからこそ、めちゃくちゃ大声で褒めたいし、どうしても文字に残しておきたかったのだ。

ここまでの感情をこめて、カーテンコール清水さんに全力で「(大阪公演各所調節してくれてこれが観られて嬉しいです)」の拍手と首肯を送ったらばっちりファンサされた。面白かった。

 

大阪公演千穐楽、本当の千穐楽で、清水さんに「(あのまま大阪公演やらずに)延期公演でよかったよね?」と聞かれて、担当は「はい、延期公演でよかったです。」と、割とカラッと答えた。配慮型担当にしては珍しい回答で、ともすれば(ご時世もあり)炎上案件だな…と思ってあんまり言わないようにしていたのだけれど、ここには書く。でもいちファンの私も、延期公演でよかった、そう思ってしまうぐらい素晴らしかった。昨年役者として専念することを宣言して舞台に立っている、でもまだまだ経験は足りない、これからも舞台に立つので見に来てほしい。同じような言葉であったが、四月とは全く表情も姿勢も違う晴れやかなそれがどれだけ嬉しかったか。

 

初日終演後、気づけば友人やフォロワーさんたちが思い思いにわらわらと集まり(そもそも私に同担のお話できる人間がいるだけで本当に体が震えるぐらい感動なのだけど)、かといって大声で雑談するわけにもいかないので駅までの道を「いや~…よかったっすね…」「はぁ~♡…」「いや本当に…よかった…」と口々に語りながら歩いたのが忘れられない。また翌朝会場への道、友人の背中を見つけ「おはよ~!(担当が)おたおめ~!」と声をかけるのも面白かった。通学路か。千穐楽終わり新幹線ダッシュを決めるため駅へと向かう途中、ちょうどすれ違った友人に「おつかれ!また来月!」と少クラレベルのハイタッチをかますのも愉快だった。

共演者さんが満席の客席を見て嬉しそうにしていたのも嬉しいし、大阪で主演公演ができたのも最高。そして0番に立つ担当が楽しそうにしていたのが何より幸せ。そしてこの公演を経て数日後の大阪環状線の記者会見で、「共演者さんを頼る」とか今回学んだことを言葉にしてくれたのもハッピー。

そう、頼もしいと楽しいし、楽しむ姿がまた頼もしい。

この記憶だって、担当が数年後覚えてなくても我々が全部覚えておくから、全部力にして手に入れて迷わず前に前に前に進もう!ありがとうございました!また来月!

 

*1:普段はnoteの方で「担当ごと」と銘打ち、2週間に1本この期間中の担当のお仕事やできごとを勝手にまとめており、以下の文章はそこでぬるっと書いたものである。ご興味があればぜひこちらをどうぞ。